主任調査員の金子です。
今年も「終戦の日」を迎えました。
太平洋戦争の終結から79年となりましたが、年々戦争の記憶をいかに継承するかが課題となってきています。
弊社ではかねてより日中戦争・太平洋戦争の従軍者の記録である「軍歴証明」の解読に力を入れ、「従軍の足跡」サービスをご提供しています。
「軍歴証明」の情報を基に様々な文献を調べ、背景から戦況まで詳細に解説をしています。
戦争というと、どうしても実際に戦場へ赴いた従軍者に目が行きがちですが、空襲で亡くなったり負傷した民間人、さらには戦時下において苦しい生活を強いられた人たちなど、戦時中を生きた人たち一人一人にさまざまな体験や想いがあります。
最近、七尾和晃著『語られざる昭和史 無名の人々の声を紡ぐ』(平凡社)という本を読みました。

この本は著者が20年以上にわたり全国を訪ねて聞き取った、「語られざる戦後」「語られざる昭和」の証言を集めたもので、著名人ではない市井に生きた人たちの生々しい証言がまとめられています。
戦争未亡人が訪れた「おがみ屋」の話、広島・長崎と2回の被爆を体験した人の話、米兵との混血児の話など戦争に関わる話から、山間部の集落で行われていた風習の話など、誰かが記録しなければ消えて行くような話が収められています。
市井を生きた無数の人たちの記憶を記録する。とても大事なことだと思いました。
弊社の調査でもご年配の方からさまざまな聞き取りを行っており、特に戦時中の記憶がある方には当時の様子などをお聞きしています。
戦場に行かなかった人にも戦時中の苦しかった記憶があります。そういった一人一人の記憶も大事に記録し、後世に残していきたいと思っております。