主任調査員の金子です。
今年も9月1日「防災の日」を迎えました。「防災の日」は大正12年(1923)9月1日に発生した関東大震災にちなみ制定されました。昨年で関東大震災から100年、今年で101年を迎えます。
今年は1月1日に発生した能登半島地震、8月8日の日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震による初の南海トラフ地震臨時情報などによって、全国的に巨大地震への警戒が高まっています。「防災の日」をきっかけに再度、備蓄品の確認や避難場所の確認などを行い、いつ来るか分からない災害に備えることが大切だと思います。
今日は「防災の日」にちなみ、お客様におすすめいただいた武村雅之著『関東大震災を歩く 現代に生きる災害の記憶』(吉川弘文館)を紹介いたします。この本は東京都内に残る関東大震災の痕跡や慰霊碑・記念碑など現地を調査してまとめられたもので、今なお、関東大震災の被害の大きさを伝えるものが数多く残されていることに驚かされます。
この本に掲載されている中で私が訪れた場所を紹介します。
・防火守護地の碑
千代田区神田和泉町の和泉公園内にある石碑で、周辺が大きな被災を受けた中で、町の人が一致協力して防火にあたり、被害を免れたことを記念したものです。被災を免れた町名が刻まれており、佐久間町二丁目、三丁目、四丁目・平河町・練塀町・和泉町・東神田三丁目・佐久間町一丁目の一部・御徒町一丁目の一部が挙げられています。東京の下町は特に被害が大きかった地域ですが、老人・婦女子を非難させ、元気な人たちは消火にあったことで、この地域は被災を免れたといいます。
・震災紀念の碑
千代田区神田駿河台にある石碑で、当時この地にあったと東京商工学校に鉄筋コンクリート4回階建ての校舎があり、周囲が被災した中で、建物の被害が軽微であったことから避難場所に使われ、このことに感謝するために建立されたものです。
・神社再建碑
港区新橋にある日比谷神社境内にある石碑で、震災後の区画整理により芝口三丁目にあった日比谷神社が愛宕下町二丁目(現新橋四丁目)に移転して再建されたことを記念して建立されたものです。日蔭町一丁目の氏子によるもので、左面に再建者の氏名が刻まれています。
・石獅子
千代田区外神田にある神田明神境内にある石獅子は、大きな石を積み上げた上に親獅子二頭と子獅子一頭がありましたが、震災により崩壊し、親獅子は辛うじて残ったものの、子獅子が失われていました。平成2年(1990)の今上天皇(現上皇陛下)の即位を記念して親獅子が元に位置に戻され、子獅子が再建されました。
地震以外にも今日本列島を通過中の台風など、日本は自然災害が多い国です。関東大震災以外にも各地にはさまざまな災害を伝える痕跡や慰霊碑・記念碑などが数多く存在しており、日々の生活に流されがちな私たちに「天災は忘れた頃にやってくる」ということを思い出させてくれものであります。
先祖調査においても自然災害に関する記録を目にすることが多くありますので、ご先祖が遭遇した災害の苦難についても記録を残していきたいと思っております。