最近読んだ本。徳川夢声という人は、無声映画時代の弁士だったそうですね。私が生まれた頃には既に有名だったようですが、全く記憶に無く...。阿川佐和子つながりで読んでみましたが、何か不思議な感覚を覚えました。
対談相手は吉田茂、湯川秀樹、志賀直哉、牧野富太郎、藤田嗣治などなど、有名な方々ばかりですが、昭和26年から8年間にわたる対談400回のうちのほんの一部だそうです。
対談ですから、当然その人の生の声が聞こえるような構成になっているのですが、それが亡くなった方々だと思うと、なおさら貴重なものに思えてきます。しかも歴史を作ったり、変えたりしてきた人の、意外な交友関係や普段が垣間見えて、とても楽しい一冊にまとまっています。吉田茂って、他の歴史小説で読むとすご~い剛腕!政治家と思うだけですが、結構楽しいおじさんだなぁとか、藤田嗣治ってあんな繊細な絵を描いているけど、腕っぷしが強い上に破天荒で確信犯だったのねとか、牧野富太郎は本当に植物が好きだったんだなぁとか、生の顔が見えて私にとっては新鮮でした。
徳川夢声という人は、本人の経験談もふんだんに披露しつつも、対談相手の話したい気持ちを引き出し、さらに読み手の知りたいを満足させる、普段見せない顔を表にひょいと見せてくれる、そんな技術を持っていたのだなぁと感心していました。
「聞く」ってやっばり力量のいる仕事だなと思いました。
徳川夢声について改めてウィキペディアを読んでみたら、アルコール依存症とありました。アルコール依存症といえばこの方々...吾妻ひでおと西原理恵子の「あるこーる白書」を同時に読んでおりました。お酒を入れると話も滑らかになるかも、なんて甘い!!ですね。う~ん、少しお酒を控えようかな...と最後は脱線(苦笑)。