「い…」と筆で書いた瞬間

「い…」と筆で書いた瞬間

NHK「光る君へ」を楽しんで見ています。まひろが「い…」と書いた瞬間、きたきた!! とあのフレーズが口をついて出ました。
「光源氏」の冒頭を古文で習ったのか覚えさせられたのかは記憶にないですが、すらすら言える方も多いのではないでしょうか。続きもたのしみです。

 以下、近況です。
・外国在住の方から、日本人の母方のルーツが知りたいとの問い合わせで、まずは戸籍謄本を代々取得するお手伝いをしています。
・東日本大震災の津波で塩水をかぶった日記を、1頁1頁開いてスキャン、戦前のくせ文字をテキスト化し画像と共に書籍化。依頼者が手渡しした際、所有者の方は感激して泣いていらっしゃったとのこと。少しだけ社会貢献できました。
・上級武士の家系の末裔の方、その姻戚関係も華麗な系譜・足跡が藩の資料に遺されていました。翻刻(崩し字をテキスト化)量が半端なかったですが、江戸時代にいかにお家を絶やさないようにするか腐心していた様子がうかがえました。
・終戦直後に中国で銃殺された憲兵を先祖にもつ方、日本国内の資料では昭和22年まで生きていたことになっていました。事情があって果たして軍歴証明が申請できるか? という難題がきています。
・ご遺族のことを話していただくヒアリング機会も増えています。ヒアリングのために読み込む資料も多く、夏休みはもともと無かったのですが、平日夜、土日も読み込みが続きます。

「い…」がいかに広がっていったのか、楽しみにしつつ、夏休み明けも頑張っていきます。

『語られざる昭和史 無名の人々の声を紡ぐ』を読む

主任調査員の金子です。
今年も「終戦の日」を迎えました。
太平洋戦争の終結から79年となりましたが、年々戦争の記憶をいかに継承するかが課題となってきています。

弊社ではかねてより日中戦争・太平洋戦争の従軍者の記録である「軍歴証明」の解読に力を入れ、「従軍の足跡」サービスをご提供しています。
「軍歴証明」の情報を基に様々な文献を調べ、背景から戦況まで詳細に解説をしています。

戦争というと、どうしても実際に戦場へ赴いた従軍者に目が行きがちですが、空襲で亡くなったり負傷した民間人、さらには戦時下において苦しい生活を強いられた人たちなど、戦時中を生きた人たち一人一人にさまざまな体験や想いがあります。

最近、七尾和晃著『語られざる昭和史 無名の人々の声を紡ぐ』(平凡社)という本を読みました。


この本は著者が20年以上にわたり全国を訪ねて聞き取った、「語られざる戦後」「語られざる昭和」の証言を集めたもので、著名人ではない市井に生きた人たちの生々しい証言がまとめられています。
戦争未亡人が訪れた「おがみ屋」の話、広島・長崎と2回の被爆を体験した人の話、米兵との混血児の話など戦争に関わる話から、山間部の集落で行われていた風習の話など、誰かが記録しなければ消えて行くような話が収められています。
市井を生きた無数の人たちの記憶を記録する。とても大事なことだと思いました。

弊社の調査でもご年配の方からさまざまな聞き取りを行っており、特に戦時中の記憶がある方には当時の様子などをお聞きしています。
戦場に行かなかった人にも戦時中の苦しかった記憶があります。そういった一人一人の記憶も大事に記録し、後世に残していきたいと思っております。