どうみる「らんまん」

主任調査員の金子です。

今月からNHK連続テレビ小説第108作「らんまん」が放送されています。

今回は植物学者牧野富太郎をモデルにした槙野万太郎が主人公で、幕末から昭和までを描くということもあり、ファミリーヒストリー的な目線でみることができるのではないかと思っています。

1週目では江戸時代の造り酒屋の様子や、商家の本家・分家の関係、当時の慣習や迷信などが丁寧に描かれていました。

2週目では万太郎が郷校名教館に通い、士族の子弟たちと一緒に学ぶ姿や、廃藩置県で領主深尾家が東京去り、家臣の塚田昭徳が帰農するという場面が描かれました。

幕末の城下町の商家、武士と商人の関係など、ご先祖調査でもよく取り上げられる場面が描かれており、大変関心を持ちながら視聴しました。

牧野富太郎が生まれ育った高知県高岡郡佐川町は土佐藩の領内で、1万石の土佐藩家老深尾家が領主となっていました。1万石=大名と考えがちですが、当時、徳川御三家や加賀・仙台・薩摩・長州・岡山など大大名の家臣には1万石以上を与えられた家老がおり、深尾家もその一つでした。これらの家には家臣がおり、本藩からみると家臣の家臣にあたり、これを陪臣といいます。ドラマに登場した榎木孝明さん演じる塚田昭徳は土佐藩の陪臣ということになります。

郷校名教館にはドラマで寺脇康文さんが演じていた池田蘭光のモデルとなる伊藤蘭林という名教授がおり、教え子には富太郎のほかに、明治政府で要職を歴任、宮内大臣を11年務め、晩年は土佐出身の志士の顕彰に尽力した田中光顕、近代土木の礎を築いた工学博士廣井勇、自由民権運動家で奈良・石川・山口県知事を務めた古澤滋がいました。

古澤滋の父南洋も名教館の教授を務めており、ドラマで池田蘭光のほかにもう一人出てきた教授が古澤と呼ばれていたので、南洋がモデルであったかもしれません。

写真は東京都文京区護国寺にある田中光顕のお墓と、東京都台東区谷中霊園にある古澤南洋のお墓です。

江戸時代は学問が発達し、藩校・郷校・私塾などが各地に設けられるようになりました。ご先祖調査でも幕末維新ごろのご先祖が藩校に通っていたとか、寺子屋の師匠であったとか、寺子屋の師匠を援助していたといった話がよくあります。

これからも万太郎が東京に出て植物学者などさまざまな人たちと出会いますが、それぞれモデルとなった人物がいますし、今のところ時代背景も丁寧に描いていますので、ファミリーヒストリー的な目線でみるとより楽しめるのではないかと思います。